妊娠前に必ずしておくべきこと
更新日:2022年1月25日
こんにちは。
子どもをむし歯0にする専門家、
楠原佑佳です。
今回は、
そろそろ妊娠を考えている女性へ、
妊娠前に必ず済ませておいてほしいことについて
お話します。
結論から言うと、
妊娠するまでに女性が必ずしておくべきことは、
「むし歯と歯周病の治療を全て終わらせておく」
ことです。
理由は4つあります。
⒈妊娠すると、むし歯や歯周病治療ができない時期がある
⒉妊娠中は、飲めないお薬がある
⒊歯周病があると、早産のリスクが上がる
⒋将来生まれてくる子どもが、むし歯になりやすくなる
それぞれ順番にお話していきます。
妊娠中、安心して歯の治療ができるのはわずか3ヶ月間
妊娠の10ヶ月間は、大きく3つの時期に分けられます。
・初期 0〜15週
・中期(安定期) 16〜27週
・後期 28週〜生まれるまで
このうち、
安心して歯科治療をできる時期は、
中期(安定期)だけです。
その期間はわずか3ヶ月間(妊娠5ヶ月〜7ヶ月)
他の時期は、
歯科治療をできるだけ控える方が安心です。
初期は、
胎児の奇形を発生させる可能性があることや、
そもそもつわりで外出が難しい人も多いことが理由です。
歯に症状がある時は、
応急処置だけで終わらせることが推奨されています。
後期は、
長時間仰向けになっている状態が原因で低血圧になり、
冷や汗、めまい、嘔吐、呼吸困難などの症状が出る場合があるからです。
(「仰臥位低血圧症候群」と呼びます)
麻酔をして虫歯を削るような処置は、
基本的に中期の3ヶ月間にすることが望ましいのです。
妊娠中に飲めない「ロキソニン」
歯医者さんで出す代表的な痛み止めに
「ロキソニン」があります。
ロキソニンは鎮痛効果が高いため、
使っている歯医者さんも多いのですが、
妊娠中の10ヶ月間は、
ロキソニンを飲むことはできません。
胎児に影響がある可能性があるからです。
妊娠中に使える痛み止めは「アセトアミノフェン」というお薬です。
アセトアミノフェンは、
子どもでも飲める比較的安全なお薬ですが、
ロキソニン と比べて鎮痛効果が弱いのが特徴です。
つまり、
妊娠中に歯に痛みが出ると、
痛み止めとして「アセトアミノフェン」しか飲めないため、
あまり痛み止めが効かず、辛い思いをする可能性があります。
歯周病だと、早産・低体重児出産のリスクが高くなる
現在、歯周病は「国民病」と言われているくらい、
かかっている人が多い病気です。
年代的には、
20代で軽度の歯周病の人が増え始め、
30代では3〜4割の人が歯周病にかかっています。
(2016年 歯科疾患実態調査より)
「歯周病って、50代くらいからなるものじゃないの?」
と思っている方も多いと思いますが、
実は、妊娠する20代〜40代の女性も、
歯周病にかかる年代なのです。
そして、
歯周病の妊婦さんは、
「早産・低体重児出産のリスクが高くなる」という報告があります。
それを受けて、
2019年から、日本産科婦人学会と日本歯科医師会が連携し、
「妊産婦さんへの歯周病予防」の普及活動を行っています。
今までは、あまり注目されていませんでしたが、
健康な胎児の発育のために、ママが歯周病を予防しておくことは
かなり重要なことだと、現在は考えられています。
生まれた子どもにむし歯菌がうつってしまう
出産後、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、
むし歯菌は1匹もいません。
しかし、
1歳〜2歳の時期になると、
いつのまにかお口の中に、
むし歯菌が存在しているのです。
お母さんの口の中にいたむし歯菌が、
あるタイミングで子どもにうつってしまったからです。
(お父さんにも言えることです)
そのキッカケになるのが、
お箸やスプーンの共有や、口と口でのキス
と言われています。
お母さんの口の中にむし歯が多いと、
むし歯菌の数もたくさんいることから、
子どもの口の中にむし歯菌が大量に運ばれてしまいます。
その結果、
子どもが幼少期にむし歯になりやすくなってしまいます。
出産時に、
ママの口の中にむし歯がない状態は、
子どもをむし歯になりにくい子に導いてくれるのです。
まとめ
・妊娠すると、いつでも歯医者さんに行けるわけではなくなる
・歯が痛んでも、完璧な治療ができない場合がある
・歯周病だと、早産や低体重児出産という大変な出産になる可能性がある
・虫歯があると、生まれてきた子どももむし歯になりやすくなる
これらの理由から、
自由に行動できる妊娠前に、
虫歯や歯周病は全て治しておくことを強くお薦めします。
妊娠前に治療しておくことで、
安心して妊娠、出産を迎えることができるでしょう。
「そろそろ子どもが欲しいなぁ」と思ったら、
まずは歯医者さんに行って、
虫歯や歯周病のチェックをしてもらいましょう!
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